建物の耐震性の診断

これまで、大きな地震被害が有るとその検証をもとに建築基準法は改正され、建物に求める耐震性が年代とともに高くなっています。
耐震診断では、構造図等の図書の確認、現地調査、解析・検証を行い、既存の建物が保有する耐力が現行の建築基準法が求める耐力を満たしているかを診断します。
現地調査では、その建物が図面通りに建築されていること、建築後の構造に関する改修等がされているかおよびその建物の現況の劣化状況を調査します。その際に、建築確認・中間検査・完了検査の公的な検査と手続きを受けている建物は、一般的には建築確認申請の図書に従って建物が完成したとみなすことができます。

その建物の構造により、耐震性の診断の方法は異なります。
 鉄筋コンクリート造(RC)造・鉄骨造の場合には、現場調査をもとにその既存建物の耐震性を解析する簡易電算ソフトはありません。建築時の構造図をもとに可能な個所で設計図書との整合性や建築後の劣化状況を調査し、構造に関する図書の主要な部分を確認したうえで検証する必要が有ります。建築当時の構造計算書類がない場合は、現場調査で構造図を再現したうえで構造を検証する大規模な調査になります。
 一般的な木造住宅の耐震診断では、現行の建築基準法で求められているものと同等の耐力があるものを1.0とします。現場調査したその建物の構造要素を認定の電算ソフトに入力して解析することが一般的です。(詳細はブログ別記事の「木造住宅の耐震診断とは」)
 大手住宅メーカーの建物で多い軽量鉄骨造の工法は、国土交通大臣の認定によるその住宅メーカー独自のものであることが多く、認定を取得した住宅メーカーしかその建物の耐震性は診断できません。
 共同住宅の耐震診断では、建物全体の構造を診断する必要が有ります。
その建物の構造に関する書類一式を管理組合から提出していただきその内容を構造に合わせて検証・診断します。 建物全体の検証・診断には相応の費用(数十~数百万円)が掛かり、費用対効果が合わないこともあります。管理組合ですでに耐震診断を実施している場合は、その結果を利用することも可能ですので、事前に管理組合にご相談してください。

実際の建物の耐震性はその建物の劣化状況や立地の地盤などによっても異なります。
一定の年数以上その立地にあり過去の地震を経験している建物に構造上問題があれば基礎や外壁のひび割れや傾きや沈みなどの構造上の劣化事象が発生していることが考えられます。逆に構造に関する著しい劣化事象が無い建物は、その立地条件で相応に安定しており、適切な維持管理をすれば、継続して使用が可能と考えることもできます。

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